……ュン……チュン、チュン……チチチチチ。

朝の訪れを告げる鳥達の賑やかな囀(さえず)りが、まだ夢心地のあたしの耳元で響く。

ん~……うるさいなあ。もう少し眠らせてよ。

賑やか―――と言うよりは、騒々しい鳥の囀りから避難しようと思って、寝返りを打った拍子にこつり、と何かが当たった。

……ってあれ?
あたしこんなトコに何かぶつけるような物、置いてたっけ?

そう思いながら寝ぼけ眼で瞼を開いたあたしは次の瞬間。


「き……きゃああああああッ!!」


天にも轟きそうな大悲鳴を上げていた。

あたしの大絶叫に驚いて、飛び起きたアベルが枕元に置いていた剣を素早く引っ掴む。

「どうしたッ?! 何かあったのか?!」

顔面蒼白で口をパクパクさせているあたしの只ならぬ様子にアベルが緊迫した声を張り上げる。

「な、な、な……何であんたがあたしと一緒のベッドで寝てんのよッ!!」

想像だにしなかった事態に頭も回らなきゃ、舌も回らず、声を詰まらせながら大声で怒鳴れば、呆気に取られた表情で、アベルがぱちくりと目を瞬かせる。

「――……って何? もしかして、それだけの事であの悲鳴を上げたのか?」

じわり、じわりと込み上げる怒りに肩だけじゃなく、全身をふるふると震わせていたら、アベルは呆れたような口調で言って、はあ、と馬鹿にしたように溜め息を吐く。

「……って、あ……アベルのバカ――――ッッ!!!!」

無遠慮なアベルの態度にかちん、ときたあたしは手元にあった枕を引っ掴むと、力任せ、アベルの顔に枕を投げつけていた。

至近距離にいたアベルはあたしの投げた枕を避ける間もなく、真正面からそれを顔で受け止める。

「……って、お前、何回も、何回も、いい加減にしろよッ!!」

奇襲攻撃を受け、枕でぶつけた鼻を押さえながら、アベルがぎろり、と睨みつける。

「ま……枕を投げられて当然でしょっ! 何であんたがあたしと一緒のベッドにいるのよッ?! 意味が分かんないんだけどッ!」

アベルの気迫に一瞬怯みそうになりつつ、あたしは勢いのまま、アベルの胸倉を掴むと一気に捲くし立てた。

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