「彩芭、何かあった?」
「え……」
ふと、何を思ったか、彼がそんなことを言ってきた
私を見上げる、心配げな表情
いつもなら、私が彼を見上げるのだが、今は別だ
私は彼を見下す……もとい、見下ろしていた
高さが違う
床に寝転がる彼に、座る私
それならまだいいが
「あの……。あんまり、動かないでもらえますか」
私の膝上で、ゴロゴロされるのは鳥肌がたつ
膝枕
今やっている恋人ごっこは、それだ
彼にとってみれば、『ごっこ』じゃないのだけど
「照れてる?」
動かないでと言ったのに、意地悪げに彼は私の太ももに触った
銃を持っていなければ、悲鳴の一つでもあげていたところ
この変質者めと、やはり見下した