幸せの契約
「婚約の話を最終的に決めるのは鈴だ。

俺からは何も言わない。ただ、よく考えてくれ…。

鈴の人生と犬居の人生。
そして、俺の気持ちを。」


大和さんはそう言って携帯をジャケットから抜いて電話をかけた


「犬居か?」

その言葉に体は大袈裟に反応して飛び上がってしまう


「…ああ。そうだ。
鈴を迎えに来てほしい。
…わかった。頼んだぞ。」

電話を切って大和さんが私に向き直った


「鈴。今から犬居が迎えに来てくれる。
俺は家へ帰るから…。何かあったら、連絡してくれ。」



大和さんがヘリポートから立ち去った後


空から白い宝石が舞い落ちる


吐く吐息が白く濁って
白い世界に消えた


私…


どうすればいいの?


やっと見つけた
初めての恋


やっと気持ちを伝えようと決意したのに…



私は…


どうすれば…
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