幸せの契約
ゆっくり犬居さんが私の前に片膝をついた


「え!?ちょっ…なんですか?」


萩乃宮財閥の御曹司が跪くなんて!


慌てる私に
犬居さんの真剣な瞳が訴える


「鈴様。
今まで、鈴様を騙して申し訳ありませんでした。


私は萩乃宮財閥の御曹司として生まれ、数々の人たちが言い寄ってきました。

全て私の財力と萩乃宮の名前を目当てに…。


でも、自分をチヤホヤする中に居ては成長できないと思った父が、私を使用人として働かせ始めました。

様々な人に仕えるうちに、私は思ったのです。


権力も財力も何も関係なく、私自身をみてくれる人に仕えたいと…。」



犬居さんが右手をゆっくり胸に当てる



「鈴様は見ず知らずの父を必死になって助けてくださいました。

派手にお金を使う事を嫌い倹約される。


そしてなにより
私たち使用人を召し使いではなく、家族として接し、微笑みかけてくださる。


私は思ったのです。


鈴様が私の探していたお人だと…。

お金がなくても
今の生活を全て投げ捨ても
私を好きだと言ってくた。
あんなに嬉しい気持ちは初めてでした。



だから
改めてお願いいたします。







鈴様…。
私と結婚を前提にお付き合いしてください。



ずっと鈴様の傍にいさせてください。」



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