Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
ねぇ、あっちゃん?

見てる?

あこの赤ちゃんの写真だよ。

まだ小さいけど、ちゃんとお腹の中にいるよ?

可愛いね!!


回りの妊婦さんのお腹を見つめながら、エリと笑いあっている時だった。

「おい!どうだったっ!?」

「…二ヶ月だってっ!!赤ちゃん出来たぁっ!!」


あことエリが座る椅子の後ろで、うれしさを隠せない、歓喜の声がしている。

振り返って見ると、あこと大体同じ歳くらいの若い男女が手を握り合って嬉しそうに、涙目になっている。

「男かっ?女かっ?

よっしゃぁぁ!母さん達喜ぶぞーっ?

結婚した途端、妊娠かぁっ!やったなっ!」

「うんっ!!」

あっちゃんよりも若そうなパパは、あこと同じくらいの若いママのお腹に手を当ててはしゃいでいる。

思わずエリの手を握ってしまった。

「あこ?どうしたっ?」

気が付いたら、エリの胸の中に飛込んでいた。

『…ッッ…グスッ…エッ…』

ほんの数秒前までは、あんなに幸せに包まれていたのに…

今は、悲しさに包まれちゃったよ、あっちゃん…

「あぁこぉぉ?
…どうしたぁぁ?」

エリは、腕の中で声を押し殺して泣く、あこの頭を優しくなで続ける。

本当なら…
今、あこの隣には、あっちゃんが居るはずだったのに…

二人で…
あっちゃんと二人で、この写真を見て、嬉し泣きしてるはずなのに…

どうして、あの女の子の隣には大好きな人が居るのに…あこの隣に、あっちゃんが居ないの?

あっちゃんが居たらきっと…

「泣き虫!
そんなんで、母親になれるかぁっ!(笑)」

…って笑い飛ばして、きっと、あこをだっこしてくれるのに…
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