『ハァハァ…ッッハァ…』
息は上がっているはずなのに苦しくはない。

あっちゃんはもっと苦しんだんだ。

あっちゃん…
あっちゃん…


30分は走り続けた。
一度だって立ち止まらなかった。

一度も歩かなかった。

立ち止まってしまったら…
歩いたりしてしまったら…

その間にあっちゃんがいなくなりそうで怖かった。


『…ハァ、ハァ……。
着い…たッッ…』
あこは足を止めた。

目の前には15階建ての大きな建物があこを待っていた様にどっしりと構えていた。

【西中央総合病院】

何度も、何度も、確認した。

ここだ。
ここの五階には、あっちゃんが居る。

五階を眺めた。

何部屋あるんだろう…
窓がたくさんありすぎて目が回る。

でも、あそこの何処かにあっちゃんが居るんだ。

ドックン…
ドックン…

心臓が飛び出ちゃうくらいに動いている。

朝、念入りにブローしたストレートの髪がぐっちゃぐっちゃだ。

大量の汗で、きっとメイクだってボロボロに崩れているはずだ。

ガガー…
病院の正面玄関の自動ドアをくぐり抜ける。

『んっ…』
病院の独特な匂いがした。

総合受付を素通りしてすぐのエレベーターに小走りで駆け寄った。

チンッ…
エレベーターは、あこを迎えに来た様に丁度良く開いた。

誰も乗っていない。
エレベーターに急ぐように乗り込んだ。

エレベーターの中は鏡張りになっていて、あこが何人も自分を見つめ合う。

五階のボタンを押した。
ガガー…
ドアが締まって、動きだした。

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