Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
「………」
あっちゃんは心配そうな、不安を抱えた様な顔をしている先生を見つめていた。

先生は、険しい顔をした後、あこをチラッっと見た。

先生は笑顔であっちゃんに言った。

「…アツシ君、分かってるね?」

「おぅ!先生、マジでありがとな!」

あっちゃんは少し寂しそうに笑って、先生に右手をあげて、軽く振った。

ガ―――
エレベーターのドアが閉まった。

エレベーターの中は…

涙目で微笑むおばちゃん。

大荷物につぶされてしまいそうな卓ちゃん。

あっちゃんの痩せてしまった横顔を見上げるあこ。

ただひたすらにエレベーターのドアを見つめるあっちゃんが乗っていた。

あこには一つ気になる事があった。

『あっちゃん!…さっき、先生が言ってた“分かってるね?”って何?』

「あー…何でもねぇよ!あこは何も心配いらねぇよ!」

あっちゃんがあこの頭を優しく撫でてくれた。

あっちゃんは退院した。
ガンを克服した。
そう思っていた。

< 31 / 286 >

この作品をシェア

pagetop