秘密~「ひみつ」のこと

沖縄旅行

それから翔一さんとは、
何度か食事した。

懐寂しい
給料日前とか、
お言葉に甘えてさ。

勿論、アルコールは抜き!

こないだみたな気分、
最悪だからね。

あたし達の関係って、
なんか不思議。

会って、食事して、話して、
それでお終い。

でも、一緒にいる時間
楽しくって、
気持ちが落ち着いて、
飾らない
自分に驚いてた。

翔一さんは、
あたしのとりろめもない身の上話を
真面目に、
ほんとに真剣に聞いてくれて、
何でかな、
あたしも自分のこと、
素直に話せた。

「で、あたし高校中退だけど、大検とって大学受験の資格はとったの」

唯一のあたしの自慢。

「そりゃ凄いな、で、大学は?行ったの?」

「ホントは心理学、勉強したかったんだけど、先立つものがなくて…何せフリーター人生なんで。今、やっと二百万くらい貯まったかな。学校行ってる間はパートくらいしかできないし、生活費もいるし、そのうちね」

だってさ、大学に通う自分なんて想像できないし
通い通す、自信もないしさ…

「大変だな。僕、奨学金出してあげようか?合格したら、の話だけどね」

「えっ?」

「大学卒業して就職したら、返してもらうよ。それまで、無利息、無期限でさ」

「君の部屋の本棚、心理学の本が一杯並んでた。勉強ってさ、やりたい人にやる権利が保障されるべきだと僕は思うな。だから、応援するよ」

この人って、
どこまで優しいのかな。







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