桃色ドクター
第9章~温もり~


私は、瀬名整形外科へ向かった。




せっかくドキドキしたのに。


久しぶりに「女」としてお洒落したのに。





ドキドキを返せ!!


昼御飯抜いたのに。


つま先が痛くなるパンプスを履いてきたのに。





『午後からの診療はおやすみです』




そっけない紙が貼られていた。





やっぱりもう終わったんだ。



もう、雅也と・・・・・・


私の相手は、雅也しか・・・・・・




そんなことを考えながら、私は携帯電話で瀬名先生の番号を探していた。



声が聞きたい。

でも、何を話す?




『どうしました?』なんて医者の対応をされたらどうすればいい?





街灯に照らされた桜の木を見上げた。



今年は寒いせいかまだ半分も花が咲いていない。






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