幼なじみ〜first love〜

蒼―side―


―――……




“……殺し…て…”




この声は

母ちゃん……




“蒼…私が憎いの…?”




違うよ…母ちゃん…




“…私を…殺して……”




母ちゃん…っ




やめてくれっ




俺の手を放してくれ……




母ちゃん…っ




やめろっ




母ちゃん…!!!










「…ハッ…!……夢…か…」




俺はベッドの上で、飛び起きた。




あの時の事が夢にまで出てくるなんて……




「…蒼…っ?…どぉしたの…?」




隣で眠っていた絢音が目をこすりながら、起き上がる。




「…何でもない……」




「蒼…ものすごい汗だよ…?怖い夢でも見た…?」




怖い…夢…?




あれは…現実だった




母ちゃんは…俺に殺せと言った……




「蒼…顔色よくないよ?大丈夫…?」




絢音が両手で俺の頬に触れる。




「…蒼……?」




俺は、絢音を抱きしめ、顔をうずめた。




あの時…




俺はすごく怖くて…


身体中が震えてた




母ちゃんが壊れていくことに




深く傷つき


涙が止まらなかった…




「蒼…?どーしたの?大丈夫…?」




絢音…


絢音…




俺をひとりにしないで




どこにもいかないで…




「いや…目が覚めて…おまえがいてよかった……」




腕の中にいる絢音の小さな身体を、強く強く抱きしめた。




「…どこにもいかないよ…蒼……」








強くなろう…




世界で一番


愛しい君の為に……――
< 564 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop