幼なじみ〜first love〜

美々―side―

――…高梨家、玄関前。




あたしは、自分の家の前に立ってケンを待っていた。




生暖かい夜風が身体を包み込む。




昨日の夜、言ってしまったこと…後悔してるって…




本当の気持ち伝えて




それでももう…あたしたちはダメかもしれない




ケンと4年間

付き合ってきた




付き合った頃のケンは

溢れるほどの愛をあたしに与えてくれていた




今では

たいした会話もなく




一緒にいるだけ




デートの回数も

エッチの回数も




だんだん減っていって




お互い別々の友達と




飲み会だとか

サークルだとか




過ごしてきた




4年間でこれだけ変わった……あたしたち




そして、昨日あたしが言った言葉……




“美々……俺のこと嫌いになった?”




そう言うケンの問いに




“…嫌いじゃないけど……好きか…わかんない”




ケンを試したのかもしれない




“俺は好きだよ”って…そう言って欲しくて




でもケンに求めてばかりじゃダメなんだって…




あたしはケンに何をしてあげたのかなって…




すごく…後悔してる




もう戻れないとしても




最後にちゃんと




ケンに伝えようと思う




素直に言えなかった気持ち………




「……美々っ…!」




向こうの方から、必死に走ってきてくれるケンの姿が見えた。
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