幼なじみ〜first love〜

遊也―side―

――…ピンポーン♪




インターホンが鳴り、俺は目を覚ました。




いつの間にかソファーの上で眠ってしまったらしい。




頭がボーッとしている。




ピンポーン……――




時計を見ると、ケンが帰ってからまだ、1時間半ほどしか経っていなかった。




テーブルの上には、空の缶ビールが5、6本転がっている。




一気にビールを飲んで、眠ってしまったらしかった。




ピンポーン……♪




「うっさいなぁ〜何度も…こんな時間に誰やねん……」




ガチャ……―――




ドアを開けると、サル…いや、ケンが立っていた。




「よっ!」




ケンの笑顔を見たら、美々とよりを戻したんだとわかった。




「よっ!…って、さっき帰ったばっかやんけ…何しに来たん?」




俺が気だるそうに言うと、ケンの後ろに隠れていた美々が、ひょっこり顔を出した。




「遊也っ♪久しぶり!」




高校を卒業してからも、ケンとは連絡とっていたけど、美々と会うのは、卒業したぶりだった。




「久しぶりやなぁ〜美々っ!…つか、おまえら…」




「心配かけたけど、俺ら仲直りしたから」




そう言って、美々の肩を抱くケン。




「よかったやん…まぁ〜おまえらの事は、何も心配してへんよ?」




「ヘヘッ♪」




ケンも美々も満面の笑みだった。




「はいはい、ごちそーさん。んで?イチャこくの見せびらかしに来たんちゃうやろ?」




俺の言葉に、顔を見合わせる二人。




「…蒼くんのことで来たの」




美々が俺の前に立ち、静かに言った…――。
< 657 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop