幼なじみ〜first love〜

沙羅―side―

――――……

――――




ねぇ……蒼


沙羅は決めました…――。




あの屋上での出来事以来、私と蒼はアパートで静かに暮らしていた。




蒼は

私の前で必ず微笑む



偽りの微笑みで




私は、ベランダで洗濯物を干しながら、蒼の姿を見つめる。




遠くを見つめ


哀しい瞳をする蒼も




私は知ってる




ほら…今も……




「蒼…っ」




私は洗濯物を全部干し終えて、ソファーに座っている蒼の隣にそっと座った。




「ん…?どした?沙羅…」




もう…癖になってる


私の前での蒼は




そう…機械的




言葉も笑顔も全て




蒼に手錠をかけて


蒼に首輪をつけて




蒼の心を

縛りつけたのは



蒼を

壊したのは



誰でもない


私なのだから…




終わりにしよう




そう…蒼を

殺してしまう前に




「一緒に死んで…蒼…」




私は両手で、蒼の首に触れた。




黙ったまま、何も抵抗しない蒼。その瞳は、私をただ見つめる。




「…何で…何も抵抗しないの…?」




蒼は黙ったまま、微笑む。




私はいつから

こんなふうになってしまったのだろう…




蒼の首をつかむ両手に力が入る…。




「…蒼…ごめんね……」




「…………」




「…さよなら……蒼…」




泣かないと

決めていたのに




最後まで




私は弱いままだった
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