幼なじみ〜first love〜

蒼―side―


――…今日もダメだった


俺は最初から覚悟してたけど




絢音…大丈夫かな




「やべっ…バイトの時間だ…っ」




俺は駅に向かって走り出した。




最近よく走んな…俺




俺は、大学の講義もなるべく出席するようにしていた。単位が足らなかったら、卒業どころか、留年してしまう。




俺は何の為に大学に行ったんだ?




そんな疑問を抱えながらも、俺はその答えを見つける術もなく毎日が過ぎていた。




けれど、瑠璃子さんに返すお金、沙羅に送るお金、アパートの家賃、生活費…借金もある……




お金はいくらあっても足らない。




「はぁ…間に合った…」




ギリギリ電車に乗り込み、俺は腕時計を見る。




「朝まで長いな……」




今日も夜8時から、朝の5時まで倉庫で荷物の運搬のバイトだ。




稼がなきゃ…




俺はバイトのかけ持ちを辞めるわけにはいかなかった。




大学と、いくつものバイト…絢音の両親に許しをもらいに行く日々…




始発で帰って…一日、2時間寝ることができれば、マシな方だった。




それでも忙しいことは、俺にはありがたかった。




遊也を失うということ……




もう少し先だと…まだまだ先だと自分に言い聞かせて過ごしていた中での遊也のあまりにも早すぎる死は、俺に深い悲しみを与えた。




周りが思う以上に、自分自身でも想像以上に、




遊也は俺にとって本当に、大切な存在だった




遊也の想いを絶対に無駄にしない




俺は遊也が死んだ時、自分に固く誓ったんだ




俺がいま出来ることは、それしかない。




絢音を絶対に幸せにする…絶対に




自分では、そこまで無理をしているつもりなどなかった。




それでも限界はあるのだと、思い知らされた。




真夜中の3時過ぎ……




――…「水嶋くんっ!!…おいっ!しっかりしろ!…誰か、…誰か救急車呼べっ!!」
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