私の中の眠れるワタシ




私は、中学三年生に進級した。

家庭内もまた、進化する。弟も中学生になり、母はますます、家庭にも、子供にも興味を無くしていた。


真也も、変わりつつある。声も身体も、彼を少しずつ確実に、男性へと変化させていく『思春期』という儀式が始まりつつある。

まだ、変わらないところがあるとすれば。

……相変わらず、私の監視が好きなあたりだろうか。


テニスコートのそばでは、いつも陸上部が幅跳びの練習をしていた。
真也は、陸上部に入部し、時折

「ねーちゃん、上達しねーなぁー。運動オンチ!」

と、声をかけてきた。私はさらっと聞き流す。でも後輩達は興味津々で、

「長崎先輩の弟さんですか?」

いつのまにか、弟と会話するようになっていた。


下級生と弟が、日に日に親密になっていくような気がして、私はいやにカリカリとし、

「おしゃべりしないで!ボール、転がったままでしょ!球拾いが遅い!!二年生、しっかり一年生を見て!」

と、怒鳴りちらしていた。




「ねーちゃん。キレすぎだろ。テニス部、恐いって有名だぞ。ま、もっとも、ねーちゃんの事名指して恐いって言えねーから、テニス部になっているんだろうけど。」

「………………」


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