粉雪
仕事
約束の水曜日、やっと学校も終わり、帰り道を友人と歩く。


相変わらずの寒さはあたしの身を縮め、否が応にも体の熱が奪われる。




『―――千里~!
今日、水曜だし暇でしょ?
久しぶりにカラオケ行かない?』


「あー、ごめん。
今日、先約あるんだわ。」


『マジ~?男??』


「…違うよ。」



今日の登校日の目的は、課題の提出と、

風紀が乱れてないかのチェックのためだけ。


正直、課題を郵送で送ってやりたい気分だったが、

そんなことをしたら、逆に呼び出される。


こんなことの為に、あたしは学校に行き、

やりたくもない馴れ合いをしなければならない。




『…てゆーか、あとは終業式で会うだけでしょ?
そしたらうちら、進学組じゃないし、ホントに学校来なくなるよね~!』


友人は、あからさまにため息をついて向けた。



「…さっちゃん、冬休みどーすんの?」


『あたしは教習だよ~!
あと、遊び!
卒業したら就職だし、遊べるの今のうちだけじゃん?(笑)』


「…だね。」



正直、“今のうち”ですら遊べないあたしは、

隼人の言った通り、ある意味“苦学生”なのかもしれない。


だけどそれは、自分が望んだことだ。





♪~♪~♪


ディスプレイを確認するまでもなく、相手の見当はつく。


「あー、ごめん!
じゃあ、この辺で!」


足を止め、両手の平を合わせて謝った。



『…やっぱ男でしょ~?
また今度、ゆっくり聞かせてね!』


友人は笑いながらあたしに手を振って、先に歩き出した。


それを確認し、ポケットに入れていた携帯を取り出す。




着信:隼人


―ピッ…

「はーいー。」


ため息と共に、電話に出た。



『学校終わった?』


「…うん。」


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