恋愛スキル

先生との約束-緋乃


放課後。


私は準備室の前でウロウロしている。

この扉の向こうには浅利先生がいる。

そう思うと、胸がドキドキしてなかなか一歩を踏み出せない。


先生に借りたハンカチがポケットにある事を何度も確認して、深呼吸をすると、意を決し、そっとドアをノックしようと手を伸ばす。


ガチャ。


ドアが急に開いて、浅利先生と目が合った。

「うおぉ~ッ!松浦か……ビックリするだろ~」

先生は素で驚いて、そのオーバーリアクションに思わず私は笑ってしまった。


先生はそんな私を満足げに見ると、一緒にケラケラと笑った。



「で?どーしたんだ?」


先生は私を準備室に招き入れると、隅っこから椅子を用意してくれた。


あれ?でも先生用事があるんじゃ……?


躊躇う私の様子を見て、先生は「大した用じゃないから」と笑って見せた。



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