私にとって男の人の車の助手席に乗るなんてことは――

それはもう大大大大大事件!である。

だって私は彼氏いない歴が年齢と等しいという……。

そんな粗末な22歳なのだから。



先生の車はシルバーのヴィッツで、なんとなく先生っぽいなって感じがした。

もっとも――

私が高野先生のことをどれほど知っているのかというと……。

それを思うと、ちょっぴり悲しくなってしまうのだけど。


「コンパクトで機能的な車なんです。僕のお気に入りです」

先生はそんなことを言いつつキーを解除。

先に車に乗り込むと“どうぞ”と中から助手席のドアを開けてくれた。


気のせいだろうか?

さっきから先生はとてもご機嫌な様子で。

「じゃあ、行きますか」

「はい」

「途中、ちょっと郵便局に寄らせて下さい」

車は夜の街へと滑らかに走り出した。