男性不妊と宣告されて~不妊治療闘想記~



予約を取った私は一つだけ悩んでいた。


それは、当然かかるであろう費用と仕事の問題。


自分の実家は裕福ではないし、リュウジの家は子供に反対。


多少の貯金が出来たとはいえ……私は今無職だ。


失業保険があるとはいえ、前向きに仕事を探さなければそれも支給されない。


通院の為に休みやすいから治療を進めるならバイトにすべき?


それとも治療費の為にまた正社員で働くべき?


正社員だったら休めないし……理由を話したら雇ってもくれなさそうだ。


辞めやすくて、給料の高い仕事。


いっつもそれで夜の仕事に戻ってきてた。


だけど、もうそんな訳にはいかない。


求人誌をめくりながら溜息をつく日々は続く。


きっと、来月病院に行って今後を聞くまでは何にも動けないんだろう。


分かっているけど心がはやる。


病院に行った帰りにはリュウジの実家に泊まる予定。


もうすっかり話せるようになったという美咲と、私は笑顔で会話が出来るかな?


通院を決めた事で少しだけ心が楽になった気はしていた。



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