恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
act07.「莉央」



最近、曇りがちな日が続く。

そろそろ梅雨入りかな…?


今にも降り出しそうな空を見上げながら、私は正門から学校を出て、プールに向かう。



すると、前には背の高い制服の男の子。

左手はズボンのポケットの中、右手はカバンを持って、背中から後ろにぶら下げている。

あの見覚えのある後ろ姿は…、、、



「山田くん!」



私はその後ろ姿に声をかけた。

私の声に反応して、ゆっくりとその顔が私の方を向く。



「…おう。都築か。」


相変わらずの仏頂面で、山田くんは足を止めた。


「部活でしょ?…しかし天気悪いね。」


私はそんな覇気のないオーラを払拭しようと、できるだけ明るく山田くんに話しかけた。



「…ああ。今日は一人?」



おおっ。

私に質問するなんて…珍しい。


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