僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

隠れ鬼と鬼渡し



◆Side:凪


土曜日の晴れた朝、あたしは緊張していた。


どうにもこうにも落ち着けなくて、テレビをつけては消し、立ったり座ったり。キッチンまで歩いて用もないのに冷蔵庫を開けて、閉めて。


「落ち着けあたし……」


4度目の冷蔵庫の前で、大きく深呼吸をする。


15畳はあるリビングにはまだ生活臭すらなく、家具は全て真新しい。キッチンもまだ一度も使っていない。


あたしが引っ越してきたのは2日前で、同居人を募集したのは6日前。


夜中の3時に募集を始めたにも関わらず、すぐに何件かメールが来ていた。


あたしは起きてから目を通し、その中でひと際目を引いたのは男の子2人に女の子1人。


興味というより、好奇心に近い。その3人には、なんとなく共通点があると感じた。

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