続きは、社長室で。
佚予の、始まり。


分かってる…、勘違いなどしてはダメ。


すべてはこのあとの為の、甘言であるから・・・



「蘭・・・」

「っ…、何――?」


ストライプのネクタイから視線を外し、頭上を見上げると。


見下げるブラウンの瞳と、すぐに瞳と瞳が合致する。




「今日も寝不足みたいだな?」


クスッと笑って、私の頬へと手を置いた。


「ッ…、それはっ――」


別離に泣いていたとは言えず、言葉に詰まった。


拓海の手の感触も相俟って、さらに閉口してしまう。




「アイツと一緒にいたから?」


「ちっ…、違う・・・!」


突然、アノ存在を思い起こさせられた私は。


全身から、一気に放熱したような感覚を覚えた。



「ホント・・・?」


「ホントよっ…!」


体温とは反対に、触れられる箇所だけが熱を持つ。




「フッ…、分かってて聞いたんだけど?

蘭は俺のモノだろ?」


「っ、拓海・・・」


重ねられた唇から、最後のゲームが開始する――





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