***** 玲子's View *****

死んだはずのあの人が、私の名前を呼んでいた。生きていたのかと駆け寄ろうとすると、目の前に鉄格子がおりてきた。

あの人に近づけない。

心臓がどくんどくんと、速さと音をまして鳴る。

やめて、やめて…

目の前で、柿崎がその人に斬りかかった。大きな叫び声があたりにこだまする。
あの人は、大きな声で、何度も私の名前を叫ぶ。

やめて、やめてったら…

鉄格子をがしゃがしゃと揺らしてみるが、一向に壊れない。

柿崎が、とどめといわんばかりに、最後の一太刀を浴びせようとした。


――――――やめて!


「いやぁ!やめてぇぇぇ!」


がばっと飛び起きた。ぐっしょりと汗をかいていた。辺りをきょろきょろと見回してみたが、見覚えのない部屋だった。

「はぁ…はぁ……」

額に手を当てた。思い出すと涙が出てきた。

「っく……」

俯いて、必死で涙をこらえた。

「目が覚めまして?」

声をかけられ、はっとした。声のした方を見てみると、綺麗な女性が立っていた。

「ずいぶんとうなされていたけれど。何か怖い夢でも見たのかしら?」

ふふっと優しく笑ったその女性は、そばに来て、髪をそっと撫でてきた。

「あら、ずいぶんと汗をかいていらっしゃる。お風呂で汗を流しましょう」

そう言うと、私の手をとって、体を起こした。手のひらには、女性らしからぬ数の、肉刺や、その痕らしきものがあった。

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