戦国遊戯
ここに置いたら、陣地がこうなって…


既に感覚は陣取りゲームだ。相手に有利になりそうな武将(碁)を潰して、尚且つ自分の武将を素早く配置して、陣地を増やす。


結局、負けはしたものの、結果は互角の勝負だった。

「やるじゃねーか、玲子!」

慶次に誉められて、嬉しくなる。

「よし、次はわしと勝負だ!」

藤吉郎が腕捲りをする。玲子も負けじと腕をまくった。


そういえば、田中くんがこっちにきたのって、ワールドヒストリのせいだっけ。

碁盤上に、たくさんの碁石がならぶ。勝負もあとわずかでつきそうだ、というとこれまでくる。
現時点ではほぼ互角。数えてみないと、わからない、といったところか。
玲子がぱちっと打つ。藤吉郎が少し悩む。


その次って、私になるんだよね。おんなじ世界にいるのって、偶然なのかな。

藤吉郎が打った。玲子は反射的に打った。

「げっ」

藤吉郎が声をあげる。が、玲子は気づかずに、考え込んだままだった。


でも、そういえば、お互いに記憶があるな。あの方法でログインしたら、記憶はもったままなのかな。


藤吉郎が難しい顔をしながら、また打つ。その瞬間、玲子がまた打った。

「……!!」

絶句する藤吉郎に、笑いを必死でこらえる慶次。
が、玲子は気にせず考えることを続けた。


入ったのは別々なのに、おんなじ時代にいて、出会ったのは、偶然?


藤吉郎が打つ。玲子がまたすぐに打ち返す。


「だ、だめだ…」

藤吉郎ががっくりうなだれる。

「すげぇな!玲子!」

慶次にばしばしと叩かれて、はっと我にかえる。


「えっ、なになに?」

わからずにいると、慶次が大笑いし、藤吉郎はうなだれた。


よくわかんないけど。
田中くんとの出会いは…


必然な気がする。

はぁ、とため息をついた。
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