神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
第三章 まどろみの中へ

息抜きに海へ

翌日、朝早く迎えに来た透達の車に乗って幹矢と月読も海へ向けて出発した。

一同は久しぶりに羽を伸ばせると明るい雰囲気のドライブに盛り上がっていた。


一方、その透達とすれ違うように白蓮の屋敷にやって来た者が居た…。


きっちりとした身なりの壮年の男。ヒゲを蓄えた口元は綺麗にカットされており、一見して紳士と誰もが思う容姿をしていた。


彼は屋敷に入ると、真っ直ぐに白蓮の部屋を訪れた。


「白蓮殿、柳ですがご在室ですかな?」


「おぉ、善次郎さんかい?どうぞお入りなさい。」


その答えを聞いて扉を開けたのは、不動家当主に代々仕えてきた執事の善次郎だった。

彼は部屋に入ると白蓮に一礼して周りを見渡した。


「あれ?先程まで若が居られたと思ったのですが…。」
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