妹の恋人は姉の彼氏の従弟Ⅱ
記憶のある今日
「おい」

背後から低い声が聞こえてくる
懐かしい声だ

「おい」

私は振り返ると、ドアのところに立っている海堂を睨んだ

「あの着替えているんですけど!」

撮影が終わって、控え室で着替えている私はドアを閉めずに、突っ立っている海堂から視線を外した

鏡越しに海堂の顔を見えた

海堂は微動だにせず、私の背中を見ている

「なんでしょうか?」

私は背を向けたまま、口を開いた
シャツを着ると、椅子の上に置いてある鞄に手を伸ばした

「金」

「は?」

「秘書から」

単語で話しかけてくるのは、変わらないんだ

「秘書?」

「貰ったはず」

朝の出来事を言っているのか?

あのスーツの女性が、海堂の秘書で、口止め料にもらった50万の話をしようとしている?

「頂きましたよ
海堂との一晩の出来事を他言するなって
あ、それと恋人気分になるなとも」

「出せ」

鞄の中に入っている50万を取り出すと、海堂に見せた

海堂はずかずかと室内に侵入すると、50万を奪った
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