紅き天




帰ってすぐ、静乃は両親に任務の失敗を報告した。



そして、今、正座をして両親の前で頭を下げている。



「失敗…?」



はい、と静乃はまた深く頭を下げた。



「一人、質屋は殺しましたが、女は逃しました。」


「つまり、姿を見せたという事か。」



掟は知っている。



姿を見られた刺客は



「静乃。」



死をもって



「お前は…。」



償う。



基子はわなわなと形のいい唇を震わせた。



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