小悪魔男子
小悪魔、襲来

ハジメマシテ






―――彼は、あたしが9歳のときにやって来た。




「隣に越してきた田原です。色々とご迷惑をおかけすると思いますが…」




玄関先であたしの母親と、同じ位の年の女の人が話している。


あたしはと言うと、そんな話よりも、タハラサンの後ろに隠れている


小さな男の子に興味があった。



「あ、うちの娘の沙菜です。
ほら、ご挨拶しなさい」



ようやくあたしの存在を思い出した母から促され、


「長谷 沙菜(ナガタニサナ)です。宜しくお願いします」


と礼儀正しく言った。



「そう、沙菜ちゃんは何歳かな~?」



ニコニコと素敵な笑顔で訪ねて来たタハラサンに「9歳です」って、こっちも笑顔で答えた。


「じゃあうちの子とは6つも違うのね~」



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