小悪魔男子

恐怖のお泊まり











「今日、大和君うちに泊まるから」



お母さんにそう言われたのは、土曜日の事だった。


「何で?」


「大和君のご両親、お仕事で東北に行くんですって。

お仕事だから大和君を連れて行く訳にもいかないからお願いされたのよ」


えぇ~?


困るよ、なんて言えなくて


あたしはただ

「分かった」

とだけ伝えた。




あのキスマーク事件から約10日。


絆創膏が取れるまでにはそんなに時間はかからなかったけど、

やっぱり学校では対応に困った。

薫ちゃんに
「あら、その絆創膏どうしたの?まさか…」


なんて言われてとっさに


「これ…カミソリで切っちゃって!」


って言ったんだ。そしたら和樹に


「…お前、首の毛剃るなんて

意外に毛深いんだな?」


なんてちょっと引いた目で見られた。


グーで殴ってからは何も言わなくなったけどね。




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