ふたつの指輪
「あんだよ?」

「何でもない」


あたしは唇をとがらせて、そっぽを向いた。



「……?」


そんなあたしを、尊さんは面白そうに見てる。






(魁人くん――どうしてるのかな)



尊さんが仕事に向かって、朝ご飯をたべた後。


ふと思いついて、あたしは、魁人くんから教えてもらったペンションの番号にかけてみた。



時間は10時すぎ。


この時間帯なら、ちょっとはペンションの方もヒマなんじゃないかと思って。




緊張しながら携帯の番号ボタンを押す。



ピッピッピッピッピッピッピ


気の遠くなるような長い呼び出し音の後。


聞こえてきたのは、無機的なアナウンスだった。




『この番号は、現在使われておりません。』
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