Magic Academy ~禁書に愛された少女~
「……そら?」

シークが呟く。と同時に、ぴくんとフギンが反応する。
ぴりっとした空気が一瞬流れる。

「ちっ……」

小さく舌打ちをして、その場を去ろうとするフギンを、シークは黙って制す。
フギンは目を大きく見開く。

「だめだ。あれに今気づかれるのは」

「でも…」

首を横に振るシーク。フギンは何か言いたげな顔をしてシークをじっと見つめる。
が、シークはまた首を横に振ると、力強い目でフギンに何かを伝えた。

フギンはぶすっとした表情を浮かべたまま、その場に留まる。

「シーク様、やはり…」

心配そうにシークを覗き込むユエに、シークはにこっと微笑んだ。

「今はまだ。もう少し…あと少しで、完全に…」

シークはそう呟くと、そらの出て行った扉をじっと見つめた。
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