イジワルな恋人


しかも、問題児としてガキ扱いしてくるから気に入らねぇ。

一年の時から、俺を見つけると、制服の乱れだとか、髪の色、前乱れていた女関係まで注意してくる始末。


ハッキリ言って、中澤は苦手だった。


中澤の手には、丸められた体育祭の進行表。殴られたモノの正体に、俺は顔をしかめる。


「桜木は最近は女で注意受ける事なんかなかったのに……。

珍しいな。相手の子も減点……」


言いかけた中澤の口が……、開かれたまま止まった。


視線を伏せていた俺も不思議に思って、中澤を見る。


「……―――」


中澤の視線の先に……、

同じように動かない奈緒の姿があって―――……。


意味深な奈緒の表情に嫌な予感がして、中澤を睨みつける。

だけど、中澤はそんな俺の視線なんかには気付かずに、ただ奈緒を見つめていた。


そして、驚いていた表情から、笑顔を作った。



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