イジワルな恋人


そして、階段の踊り場の壁に寄りかかる。


……俺への態度が、明らかに前と違う。

気まずそうにして、かと思えばじっと俺を見てたり。



やっぱり……、

俺に言おうとしてんのかな。


……『もう一緒にはいられない』って。



もしも、奈緒がその気だったら、俺は―――……。


ひんやりと冷たいコンクリートの壁が、身体を冷やしていく。


冷えていく身体を感じながら、きつく目を閉じた。



屋上に残してきた奈緒の寂しそうな顔が……、

俺の心を掴んで離さなかった。



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