虹色サイダー
「……何故」


「まさか虎が思李の異変に気づいてないとは言わせないよ?」



君はどこまでも優れた察知能力を持ってるからね。


それを持ってるくせに不器用ってんだから、余計性質悪い。



傍から見たら異様なんだろう、サイダー持った男が睨み合ってるのを、皆が見つめつつ通り過ぎてゆく。



「……承知した」


「お願いした。あ、もし会えなかったらこの場所に戻ってきて」



小さな溜め息を漏らしつつ、虎は背を向けて指定した方向へと足を進める。


ペットボトルを揺らしつつ。



あんまり振ると、大変な目に合うからね?



そう心の中で注意しながら、俺はサイダーの蓋を開ける。



これでことが解決するとは思ってないけど、ぶつからなきゃ話が進まない、気持ちの面でも進展しない。


俺があーだこーだ言ったところで、それは二人の成長に繋がらない。


 
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