私の言い分を全部聞いた夫は、にこにこと微笑んでこう言った。


「じゃあ、傍にいてくれる?」


 何をもって『じゃあ』なのか、全然分からない。
 話が伝わっていないじゃないか。

 そう伝えても、彼は「まあまあ」と私を窘めるだけで、最終的にその意見を翻そうとはしなかった。

 私に望んだのは、最初から最後まで傍にいることだけだった。



 ――五月。
 外はつつじの花が咲き乱れ、池に赤や薄い桃色を浮かべている。

 取っても取ってもきりのない花に稔も白旗を揚げ、今では紅く染められた池を風流だから良い、と放置するようになった。

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