流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
幼稚園から出て少しのところで、幸村につかまった。

一緒に帰ろう。

幸村の言葉に、幸姫は小さく頷き、幸村と佐助の手を、小さな手で握った。

夏も終わり、陽が傾くのがだいぶ早くなってきていて、空はまだうっすらとオレンジ色をしていたが、月と星が、淡く空で輝いていた。

道路に映し出される自分と2人の影を見つめながら、思わず涙がこぼれそうになった。


パパ…どこにいる……?


ずっと憧れていた。
玲子と、自分。そして父親。

周りと同じように。
父親に抱っこをしてもらったり、肩車をしてもらったり。
一緒に手をつないで歩いたり、公園で遊んだり。

たまには遊園地に行ってみたり、ハイキングに行ったり。
バーベキューをしたり、旅行に行ったり。

たくさん、やりたいことがあった。
たくさん、してほしいことがあった。

親が玲子だけだということに不満があるわけじゃない。
だけど、玲子が居ないとき。
一人で帰りを待っているとき。

どうしても、誰か一緒に居てほしいいと思う気持ちはどうすることも出来ないときがある。


ふわりと体が宙に浮く。

「きゃぁ!」

驚いて思わず叫ぶと、佐助がくすくすと笑いながら、頭をくしゃりと撫でてきた。

「玲子と違って、反応がかわいいですね、若」

「何を言っている?幸姫も玲子も、どちらも可愛いぞ」

「あー、はいはい」

幸村に抱っこをされて、思わず顔が赤くなる。

「今日はたくさん頑張っていたから疲れただろう?」

微笑む幸村に、思わず抱きついた。

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