月の雫 -君と歩む彼方への道-

2.冷血不機嫌野郎

すたすたと早足で部屋の前に戻ると。

ちょうどレイジュラが部屋から出て、うしろ手にドアを閉めるところにはち合わせた。


「レイジュラ!」

「シレン」


背中まで垂れる、黒いつややかな長髪を揺らしながら。

その高貴で端正な頬ににっこりと穏やかな笑みを浮かべる。

すらりと背が高い、とことん目を惹く男。



この研修所で唯一の第一階級だ。

金のラインが入った白い衣がよく似合う。



レイジュラの黒い瞳が、じっとオレを見つめた。

何を考えているのかを決して映し出さない、どこか謎めいた黒い瞳。
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