恋する旅のその先に


──翌朝。


 めずらしく二日酔い。

 こめかみの奥がぐぁんぐぁん、と痛くて眉間にシワを寄せながら玄関を出る。

 今日はカンの日だからとゴミ袋を提げて。

 空を見上げても流れ星の名残なんてどこにもなく。

「はぁ……」

 と軽くため息をついてゴミ捨て場に袋をおろし──


「おはようございます」


 不意に背後から声をかけられた。

 とっさに、他の家のゴミで自分のゴミ袋の中身が見えないようにする。

 そして私は、おそるおそる振り返るのだった。


< 40 / 110 >

この作品をシェア

pagetop