美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

２４歳の地図

第２章
　～Do you love me?～

第４節
　～２４歳の地図～


　看護婦というのは多忙な職業ではありますが、診察課に勤める深津美奈子は
一年を通して、夏至の前後２０日ぐらいは太陽がまだ空の隅にへばり付いている時間に帰宅する事が出来きました。

　診察課の看護婦の主な仕事は、人間ドッグのエスコート係りの様なものです。

　あるいは、ただひたすらに採血だけに１日を費やしたり、ただひたすらに患者の体に電極を貼り付ける１日だったりもします。

　その単調作業の心労はともかくとして、何より他の課から羨ましがられる点は
“人道的”な勤務シフトが組まれていることでしょう。

　「あ、美奈子！終わり？」
　職員用の自動ドアを出ると、看護学校で同級だった貴子にバッタリと出くわしました。
　
　「あ、うん。　貴子、これから？」

　
　「そう、変則シフトで今から５時まで！」

　
　「え～っ、大変」


　「ホントよ、始発で帰るのよ！　いいな～、本館勤務は」
　本館は外来と手術専門なので基本的に夕刻には勤務が終わるというわけです。


　「ふふ、頑張って」

　
　「へいへい…。じゃあ、お疲れ～！」


　…………
　………
　病院を出た美奈子は何故か急に気後れを感じ、珍しく缶コーヒーを買うと誰もいない喫煙所のベンチに座りました。

　そして橙を通り越し紫色になった空を眺めました。