美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

　（なんだろう…）
　倦怠感というよりは、しなければならない事が山積した時の「気後れ」に近い鬱でした。
　（全て投げ出して、ベッドに潜り込みたい…）
　
　美奈子はカフェオレを冠した甘い“コーヒー風”飲料を啜りました。
　しかしその甘さは彼女をちょっぴり元気にします。

　（今晩のデートだって断れるなら断りたい…）
　ボーイフレンドはとても良い人でしたが、相手の“心の凝り”を解きほぐす才覚に決定的に欠けていました。

　何がいけないというのではありません。

　これという指摘こそできませんが、彼と長い時間を共にすると美奈子は決まって気後れを覚えるのでした。

　いやしかし彼は悪くない、と彼女は自分に言い聞かせます。

　鬱の要因は、あの“光”だ。
　『シャイニング』の覚醒が私を不安に陥れたのだ。


　「誰かの悲しみが、“竜”に変換されたのね…」

　　
　（それは…）
　美奈子は俯きます。
　（それは…とても怖い事だ…）

　太陽の残光がいよいよ薄まり、夜の世界が産声を上げます。
　俯く美奈子の柔和な瞳に“闇が映り込みます”

　（……『シャイニング』…。“私達”で抑えられるの…？私達だけで…）


　何故ならば、彼女の能力、彼女に従いし“竜”は……
　光に喰われべき闇……そう“闇竜”だったからです…！