美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「それが『感情連鎖の理』か…!」
 

 「そうだ。しかし…」
 博士は今度は床に胡坐をかきました。長い溜息を吐きます。
 「『雷王の指輪』はあまりに感情を“吸いすぎる”んだ」


 …『感情を吸い取る』…

 
 「それが、この耳に響く、子供達の悲鳴の原因なのか?」


 「たぶん日本の何処かで、今まさに“虐待されている子供達の感情”だ」
 博士は頭を抱えます。
 「その怒りや悲しみ、そして憎しみを君は吸っている。リアルなままに…!」


 なんという事でしょうか―!
 それは誰しが想像するだけで絶句してしまう無限の恐怖でした……

 ふーーっ、という風に少年は長いため息を吐くと
 「『やめて、ママ!いい子になるから!もう“かけないで”!』」
 今ちょうど耳に聞えた子供の声を博士に分け与えるように、口に出しました。
 「わかるか? 今、この子は親から熱湯を“かけられてる”!」


 「…耳を貸すな。憎しみに捕らわれてはいかん…。それしか方法は無い…」


 【耳を貸すな、だって!?】
 少年の声には竜の低音が混じっています。
 【今、この瞬間に! この子は、親に熱湯をかけられているんだぞ! 傍では、母親の新しい男が助けもせず煙草を吸ってるんだ! いいか! そんな事まで僕には見えてしまうんだ!】
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