帰り、


櫂は車で私を送ってくれた。



その間に、櫂がこれまで、


1人で探り当てた事実を、


私に話してくれる。



「…兄貴に、犯罪の継続を命令したと思われるのは、


兄貴の最初の『事件』の時に、


支店に在籍していた、上司。


営業課の課長の、田神(たがみ)。


兄貴の所属してた取引課の課長、宮崎(みやざき)。


副支店長の富永(とみなが)。


そして、支店長の倉沢(くらさわ)。


この4人の誰かに違いない。


4人とも今では他の職場に異動してい、


田神は東京都下の支店の営業課長。


宮崎は本部の市場部の調査役、


富永は地方支店の支店長、


倉沢は本部、投資銀行部の次長をしている」


「…よくそこまで調べたわね」


私が助手席で関心すると、


櫂は肩を竦めた。



「…兄貴は付き合いが広くてね。


他の職場で働いてる同期とか、


新人時代に世話になった上司とか、


繋がりが多かったんだ。


…あの結婚式に出席していて、


今はあの支店に在籍していない、


職場関係の知り合いと思われる人間に、


片っぱしから連絡して回った」


私は櫂の意外な行動性に漏らしながらも、


その言葉にハッとした。



「…ね、その4人、


結婚式にも出席してた?」


私の質問に、


櫂は前方を見ながら、


一瞬黙った。



「…受付の記帳記録には、


この4人の名前はなかった。


兄貴が招待してなかったのか、


敢えて記帳されなかったのか、


それはわからない。


…だけど、そんな人間を、


兄貴たちが結婚式に、


招待するとは思えないけど」


返事を聞きながら、


私は背もたれに大きく凭れた。