解剖報告書のことを、


櫂に話そうと思った時、


目的のホテルに着いた。



「まず、ホテルの中を確認しよう。


その後兄貴達の新居に行くから、


その時また聞かせて」


櫂の提案に、私も頷いた。



1年と言う時間が経っているけど、


時間はほぼ同じ。



去年の再現が出来る状況だ。


今はそっちの方を先に済ますべきだった。



櫂はホテル内の駐車場に車を停める。



「…あの日、


俺達は親父が運転して車で来て、


ホテルの駐車場を利用した。


繭達は?」


櫂が車から降りて、


駐車場を見渡しながら言った。



「…お姉ちゃん達は3人で、


タクシーを呼んだの。


だから、ホテルの正面玄関の車寄せに、


直接着いたはずだけど」


私が答えると、


そっか、と櫂が頷いた。



「じゃあ、そこを始点にして、


動いた方がいいな。


…ちなみに、今日の駐車場の入りは、


あの日の半分くらい。


まあ、平日だし、


土日の大安祝日とは、


比べ物にならないと思うけど」


櫂の見渡す駐車場を、


私も眺めた。



去年の半分ぐらいとは言え、


割と駐車場は埋まっている。



平日でも、ホテルって混んでるんだな、


なんて、変な感想を抱く。


私と櫂は、


あの日水澤家が辿ったルートで地上のロビーに出て、


一度正面玄関の車寄せに向かう。



人通りはさすがに少ないけど、


客待ちのタクシーが、


何台か停まってるのが見えた。