引き金引いてサヨウナラ
第六章


美菜は病院から戻ると、足音荒く台所へ行き、冷蔵庫を開けた。


ヒヤリとした冷気が体を包み、幾分か思考を冷ましてくれる。


中からジュースを取り出し、一気にコップに注いだ。


勢い良く注いだせいでコップの周りを濡らしたのはそのままに、ジュースを喉の奥へと流し込む。



中身が半分以下になったコップをカタリ、とテーブルに置いたところで、達也が入ってきた。


美菜は何となく息苦しくなって、台所を出ようとした時に、柚江が来た。


「うわっ、こんな狭いところで二人とも何やってんの」


柚江の言葉に達也は唸り、何もせずに出て行ってしまった。


そんな父親の背を美菜が見つめていると、柚江が訝しそうに言った。

「どうしたの?」


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