ほどよい愛



社長に連れ回されて、視察はとっくに終わっているのに延々と酒の席は続き。
ようやく社用車に乗せて見送ったのは午前一時。

月曜日からこれで、今週は長くなりそうだな。

帰っても葵に会えるわけでもなく、その意味でも今週が長く感じられる。

「じゃ、帰るとしますか」

振り返ると、最後まで付き合わされていた聡がタクシーを止めようと大通りに向かって歩いている。

一人の部屋に帰るのが何となく嫌で、もう一軒聡と飲みに行こうかと考えて…。

ふっとおかしくなる。
いつからこんなに葵が必要な身体になったんだ…。
惚れてる自覚以上に、葵を必要としている。

…早く戻って来い。

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