ほどよい愛




「なんだ?この荷物は…」

家に着き玄関のドアを開けた途端目に入るスーツケース。
自分の家だよな…。
表札を確かめて、再び玄関に足を踏み入れる。

「……!」

もしかしたら。

スーツケースをよけながら部屋に入ると、ソファに丸くなって眠っている葵。

あの荷物持って、何しに来たんだ?
今週はずっと市橋夫妻の家に行くはずだろ?

眠る葵の側に腰を降ろして、その寝顔を見ると、今日の社長の思いつきに振り回された疲れがほぐれていく。
額にかかる髪をそっと指で後ろになで付けると、首筋に咲いている花が目につく。

思っていたより目立つ花を指でなぞっても葵は眠ったまま。

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