ほどよい愛
「札幌はもう大丈夫だから、こっちの仕事に専念してちょうだい」

「おぉ。いつ帰って来たんだ?」

「今朝の飛行機で。おかげで家にも帰ってないんだ」

「お疲れ様。あまり無理するなよ」



……小さいながらも聞こえてくる二人の会話。

恭汰はいつもと変わらない優しく温かい目で今村さんを見つめている。

その表情を見慣れているとはいえ、やっぱり胸が痛くなる。

週末の幸せだった時間も一瞬にして色褪せてしまう。


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