My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
*Side桂木*
「もうそのへんでいいんじゃないかな?」
倉庫の扉を開けると、早百合が女子社員に今にも殴られそうになっていた。
何人かは俺と同期入社した奴らだろう。
早百合以外の倉庫内の女性陣は声も出ないくらい驚いている。
「か、桂木くん…」
リーダー格は安堂百合か。
俺が入社して以来、懲りずに何度も近づいてくる女。
『女』であることを最大限に活用している、いけ好かない奴。
「安堂百合。俺のやることにつっかかってくるなんて、何様のつもりだ?」
そう吐き捨て、睨みつける。
安堂百合を始めとした女子社員たちは明らかに動揺している。
「だって桂木くん、急にこの子を秘書に抜擢して…。私はずっと異動願出してたのに、拒否し続けたじゃない!」
涙ながらにそう訴える安堂百合。
「安堂百合。その他社員数名。これ以上続けるなら上に報告させていただくが、どうする?」
紫が事務的な口調で問うと、女性たちは我先にと倉庫を後にした。
―――なんとか間に合って、よかった。
早百合を連れ、研究所へ戻った。