My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
*Side桂木*
所長室を出て、給湯室へ向かう足取りは心なしか重い。
―――いよいよ言わなきゃいけないのか。
湯を沸かす間に、これから言うことをいかに伝えるかをまとめようとするが、まとまる気がしない。
「……はぁ」
困った。
待たせている手前逃げることもできない。
「慎悟。ここにいたか」
そのとき、ガラガラと扉を開け紫が入ってくる。
「いよいよ告白か?」
思わず吹き出してしまった。
なんで紫にはこうも考えていることがわかってしまうんだろう?
「なっ、な…!」
顔が熱くなるのがわかった。
落ち着いたかと思ったのに、紫のやつ!
「馬鹿だなぁ。お前らしくいればそれでいいのに」
紫は、俺に代わって紅茶を淹れながらゆっくりと諭すようにそう言う。
「自信持てば?」
湯気の立ったマグカップ二つと俺を残して、紫は給湯室をあとにした。
―――震える手でマグカップを持ち、あの子が待つ所長室まで急いだ。