ケイカ -桂花-
アップグレード
ケイの店にいるときだけ動いていた私の時計は、宮崎が現れた事で、人並みに24時間を刻むようになった。

家でも、学校でも一刻一刻と時が流れているのを実感する。

存在してなかった時間が増えた分だけ長くなるはずの1日は、前よりもあっという間に過ぎている。

朝と帰りのアイコンタクト、1日何回かのメールのやりとり、2、3日に1度放課後の公園デート。

宮崎と会わない日はケイの店でバイト。

これが今の私の生活だ、と言ってもまだ10日程だけど。

今のところ、宮崎との事は誰にもばれていない。


あ、宮崎だ。

登校してくると、廊下に宮崎の後ろ姿を見つけた。

絶対話しかけないけれど、その視界に入りたい。

さりげなく近づくとその向こうに、マミがいた。

なんで、ここに。

目が合うと、「たろうちゃぁん」と聞こえるように甘い声で呼んだ。

声と同じ甘いピンクのグロス、ツインテールの毛先にはカールがかかっている。

前よりずっと気合入ってるじゃん。
< 105 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop